2018年「Picture of My Life」との旅
沢山の人達に「Picture of My Life」を見て貰いたい。その中でも特に僕の本を届けたい方々がいます。それは僕と同じような経験をした ” 自死遺族 ” の方々です。
WHO(世界保健機関)の発表では世界中で年間80万人あまりの方々が毎年自死されているそうです。1日に約2200人が自らの命を絶っています。実際にはこれ以上の数字には現れない方々がいると思います。そして、そのそばには数えきれないほどの遺族がいます。自死遺族の自殺率は通常の3倍〜5倍だそうです。
愛する人の自死が、遺族にとっての負い目となり、人に言えない、触れてはならない存在になる事は耐え難いものです。残された人はどうしようもない気持ちになります。悲しみ、怒り、後悔、自責の念に苛まれ、自分も愛する人の近くに行きたいと思う。
先日、自死遺族の分かち合いの会に初めて参加しました。分かち合いの会では共通の体験を持つ5、6人のグループでそれぞれの想いを語り合います。普段の生活では自死の話はなかなか出来ません。しかし、ここでは心置きなく溜め込んだ想いを言葉にして自分の体から外に出し、心を軽くすることが出来ます。パートナーや、お子さんを亡くされた方々のお話を伺い、僕の話をさせて頂いて、「Picture of My Life」を見て貰いました。
「こんな愛の表し方があるんですね。勇気を貰えました。」
「私も息子にラインを送ってるの。既読つかないけど。」
「幸せな時間が沢山あるのが嬉しい。見せてくれてありがとう。」
とご感想を頂きました。
自死というのは最後が悲劇的なだけに、その人の人生すべてが悲しみの色に染まってしまう所があります。だけど、自死を選んだ、選ばざるを得なかった人達の人生には幸福な時間も沢山あったのです。分かち合いの会では悲しみや後悔を語り合い、幸福だった頃の話も沢山します。全ての感情を抑えることなく感じ切って放出することは、遺族にとってとても重要なことだと思います。
両親の自死から19年たった今、僕は両親と一緒に生きていて、彼らの存在を日々感じています。一般的に” 死 ”は生命の消滅であるとか、無に帰するというイメージがあると思います。僕も” 死 ”をそう定義していました。しかし今は違います。肉体は滅んでも彼らの意識は生きていると感じます。死んだ後のことは誰も知らないんだから、そう感じるのであれば勝手にそう思えば良いのです。誰も困りません(笑)
僕が自分の家族を” 愛おしい ”と思って見るとき。そばで両親が微笑んで言います。
「私たちもあなたを見て、今のあなたと同じ気持ちになったのよ」
上田順平 写真集「Picture of My Life」は下記の店舗で取り扱って頂いています。ぜひ実物を手にとってご覧ください。
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